年下の不良くん
始業式が終わり、優美と階段を昇って新しい教室に向かっていると、前から萩原先生が降りてきた
「おぉ、岡本
有意義な春休みだったか??」
「はい、まぁそれなりには…」
すると、隣にいた優美が先に行っていると、気を使い、去っていった
「岡本のお陰で、アイツも進級出来たよ
本当にありがとな」
そう言って、先生は私に頭を下げる
「え、いや、そんなことはないですっ!!」
「まぁまぁ、んな謙遜すんなって
実際に、お前が助けてくれたから、アイツは今こうしてこの学校に居られるんだからな」
「………ありがとうございます…」
「ははっ、そうだな
そんな風に自分には素直になるべきだぞ、岡本
何かに嘘をついて生きるにしては、まだまだ幼い
これからが楽しいんだから、我慢なんてもんは捨てちまえよ」
何もかもを見破っていた先生が、屈託のない笑顔を私に見せる
「高校ラストの年になった
受験も控えて大変だろうがな、あまり気を張りすぎると身を滅ぼしかねんから、程々にな
…また今年もアイツの担任だから、頼るときがある
まぁ、そんときは頼むな」
ポンポンと頭を叩いてから、先生は私の脇を通って行き、私は先程の会話を胸に抱いて階段を掛け上がった