年下の不良くん
第四十二章
Side 春樹
───5月某日……
先程、りりかが学校で倒れたと、りりかの父親の秘書から連絡が入った
今朝、彼女はいつもと変わらない優しい笑顔で自分を送り出し、何ら変わりはなかったと風だったのだが…
会議を抜け出し急いで駐車場に向かい、自家用車をスピード違反ギリギリで飛ばす
もし、朝から体調が優れなかったのなら、何故、自分は気づいてやることが出来なかったのかと、自己嫌悪に浸る
好きな人、一人も守れない自分に、沸々と怒りが沸く
彼女の学校への道程は、すごく長く感じられた
学校の前に車を止めて急いで校舎に入り、職員室を探していると、ちょうど若い先生が通りかかった
「あの、りりか…岡本りりかを迎えに来た者なのですが…」
「あぁ、お待ちしてました
こちらです」
にこりと微笑む先生の首には、名札が下げられており、“萩原”と書かれている
静かな廊下に太陽の光が差し込み、自分の高校時代を思い出していると、前を歩く同年代だろうと思われる先生が話し出す
「岡本は今、高熱で保健室で寝ています
朝から体調が良くなかった様子だと、岡本の友達が言っていたのですが、そんな様子でしたか??」
「いえ、全く…」
自分の不甲斐なさに、心底呆れてしまう