年下の不良くん
あの別れを告げた日に、自分が言った言葉を忘れたわけではない
“今後一切、私に関わらないで”
だからこそ、これ以上彼と一緒にいてはいけないというのに、私の足がその場から上手く動かないのである
頭ではわかっていても心はまだ正直で、彼と話せたと言うことを、心底喜んでいる自分がいる
そのせいで、周囲の人間を振り回していることも自覚していた
「……お前、ちゃんと飯食え」
「えっ…??」
「軽すぎてびっくりすっから」
彼のいう通り、私は近頃、あまり食欲が湧かないでいた
そのせいで、風邪になったといっても、過言では無く…
「……うん、ありがとう
ちゃんと食べるね
…じゃあ、私はもう行くね」
別れてもなお、私の事を少しでも気にかけてくれていたというだけで、心が満たされて嬉しくなった
それと同時に、もうそれ以上求めてはならない、とも思った
だからこそ、動きたくはないが、自分から別れてを告げたのである
翔くん一人を残した教室を出て、私は真っ直ぐに校門へと歩く