年下の不良くん
「おい、お前」
自分がこんな風に呼ばれる事も、何故か数度会うだけでこんなにも慣れるとは、人間の慣れとは怖いものだ
「今の生活が苦痛か??」
「えっ…??」
「苦痛かと聞いている
正直に話せ」
私に目を離さず、真っ直ぐに父は私を見つめてくる
「──戻れるなら、戻りたい…です…」
春樹が嫌だと言うわけではない
だけど、前の生活は一人で寂しいと感じた頃もあったが、それなりに楽しかったし、満喫していたのは確かだ
そして、やっぱり私が傍に居たいと思えるは人、翔くんであった
たとえ今、別れていてもだ
「そうか…わかった
ただそれが聞きたかっただけだ」
父はまたコーヒーを口に含むと、父は手を付けずに置いてあったショートケーキを、私の前にすすっと移動させた
「お前は少し糖分を食べろ
…痩せたことくらい、この私でもわかる」
父の言葉に、私は自分でも目を見開いて驚いた
目の前のこの父が、私の事をこんな風に心配していたと言われれのは初めてである
一瞬、春樹がずっと前に言っていた言葉を思いだした