年下の不良くん
第五章
あれから季節は秋へと変わった
相変わらず私の夏休みは、バイト三昧だった
たまの休みには、遊びに行ったり家事や宿題をしたりと、かなり夏を満喫出来たと思う
清水くんとは、向こうからの連絡で偶に夕飯を共にしている程度だった
私は多分、彼が好きだ
でも、この気持ちは私の心の中に閉まっとく
本人に伝えたとしても、私はただの遊び
捨てられて、今の関係がなくなるだけだ
それだけは、何としてでも嫌…
学校に入ると、まず彼を探してしまう私は、かなり重傷かもしれない
下駄箱に入ると、上靴に履き替えている優美を見つけた
「優美、おはよう」
「あ、りりか
おはよう」
二人で教室に向かうと、前から武蔵くんがニコニコとやってきた
「おはよー、優美♪」
武蔵くんは、相変わらず朝からテンション高いな…
「うん、おはよう」
「りりかちゃんも、おはよう!!」
ニコニコと愛着ある笑顔に、自然と私は笑顔になる
「おはよう
元気いっぱいだね」
「もちろん♪
優美に朝から会えたから♪」
「ふふっ、優美、愛されてるね」
「やめてよ~
そんなんじゃないし」
口を尖らせて訴える、優美
「武蔵、先にどっか行くなよ」
──ドキッ
手をポケットに突っ込み、ダルそうに歩きながら清水くんが現れた