年下の不良くん
「あ、お久し振りです
りりか、さん??」
社長の婚約者でもあるが、妹の友達にさん付けはどうなのかと思ったみたいで、お兄さんの語尾にはクエスチョンマークがついていた
「ふふっ、さん付けはやめてください
いちおうこれでも、結花の友達ですから」
「いや、でも、社長の彼女さんですから…」
「じゃあ、せめてちゃん付けで」
結花はポンポンと自分の思った事を喋る子だが、お兄さんはそうではないらしい
兄と妹でも、性格が全く一緒、というわけではないみたいである
「はい、わかりました」
私が微笑むと、お兄さんも小さく微笑むその笑顔は、笑ったときの結花とそっくりで、性格は違うが顔つきは似るのだなと思う
「けど、まさかりりかとお兄ちゃんが知り合いとは思わなかったなー」
「ふふっ、私も」
そう言って他愛もない会話を私たちが始めてしまうと、仕事を抜け出してきたお兄さんは挨拶をして戻ってしまった
「ここではなんだから、部屋に入ろうか」
「はーい!!」
三人でエレベーターに乗り込み、爽さんが遅いと痺れを切らせて、待っているであろう社長室へと向かった
中に入ると、案の定、爽さんはパソコンを前に、眉間に深い皺を寄せて座っていた