年下の不良くん

「わっかって無いなー、しゃちょーさん!!
女はね、好きになった人の事は一生忘れないものなのー」


「うーん、でも普通は付き合ってたら、その相手の事が少しでも好きになると思うけど??」


「そりゃあ、近くにいる人に心を許すかもだけど、それとこれとは別の話ー
女の想いは強いんだよ」


「………別の話、か…」


「案外、きついもんだよ??
好きな相手に、好きな人がいるっていうのは…」


結花は少し遠くを見るような目をしたかと思うといつもの彼女に戻り、話を変えたのが合図かのように、この話に終止符が打たれた


そう言われてみれば、私と結花の付き合いは長いが、彼女と恋愛の話をあまりしたことがなかった


結花の好きな人がいると聞いた事はあったが、結局どうなったのかは知らない


そういった面では、結花はもしかすると、昼ドラと同じような経験をしていたのだろうか


「はい、どうぞ、鉄の仮面さん
私がコーヒー入れてあげたよー」


私が考えている間に、結花は爽さんにいつの間にかコーヒーを作っていた


彼女は熱々のそれを、パソコンと睨み合いをしていた爽さんに突き付けると、爽さんは何も言わず、一口含んだ


「………不味い
何だ、この不味いコーヒーは
コーヒーメーカーで作るのに、何故こんな味になる」



ガタンと椅子から立ち上がり抗議すると、結花は目をぱちくりする





< 298 / 408 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop