年下の不良くん
「りりか、君の気持ちを教えて??」
私は反らしていた目を、真っ直ぐと見つめる
「……戻りたい…」
何もかもを、数ヵ月前のあの楽しかった頃に…
全てをもとに戻せる可能性は低いけど、少でも戻せるなら、戻りたい…
春樹は私の言葉を聞くと小さく笑い、ソファーから立ち、私の頭を上からぽんぽんと撫でた
「わかった、後の事は俺に任せて
俺はまだ会社に仕事が残ってから行くけど、明日の昼頃に迎えを出すから、それまでにはこの家を出る準備をしておきなさい」
「…うん、わかった…
………ありがとう、春樹…」
春樹と会えるのは、もうこれで最後に違いない
明日、私を迎えに来るのは、きっと爽さんだろう
最後の最後まで、彼は優しい笑顔を絶やさずに私と別れていく
春樹には本当に、申し訳ない気持ちでいっぱいだ
父の勝手に振り回されたと私はずっと思っていたが、よくよく考えれば、私こそが春樹を振り回していた
沢山の優しさを貰いながら、私はさっきそれを仇で返したのである