年下の不良くん
第四十七章
起きた私は何も朝食を採らずに、ただ迎えが来るのを待っていた
──ピンポーン
家にチャイムの音が響いたので、こんなにも静かな所だったのかと驚いた
爽さんだろうと思っていた為、早く出ないとと駆け足で玄関のドアを開ける
だが、私を迎えに来たのは、爽さんでも春樹でもなく、父の秘書の篠原さんであった
予期せぬ来訪者に、今の私の顔はきっと、間抜け面をしているに違いないのだが、篠原さんは顔色変えずに機械的な話し方で喋り始める
「おはようございます、りりか様
お迎えに上がりました」
「あ、はい、おはようございます…
えっと…春樹に言われて来てくださったのですか…??」
「いえ、会長から迎えに行くようにと」
「えっ??父が??」
「はい
…お荷物はこちらだけで、宜しかったでしょうか??」
篠原さんは玄関に置いていたバックを確認すると、遠慮する私を他所に軽々と持ってくれた
名残惜しく春樹の家を出ると、篠原さんが運転する車に乗り込み、安全運転で走り出した
「今回の縁談を白紙に戻すよう切り出したのは、会長でございます」
「父が、ですか…??」
「はい、左様でございます
…りりか様、ご自分ではお分かり無いでしょうが、かなりお痩せになられました」
…確かに、ここ最近は考え事で胸がいっぱいになり、あまり食べ物が喉を通らない日が多かった
「あまり感情が分かりにくい会長ですが、それを凄く気においででした
この間、会長自らりりか様に赴いたのは、貴方様の意志を聞いてから、縁談をどのようにするか判断する為でした」
「……何故ですか??
父は私が嫌いなはずです…」
だからこそ、私はこれ以上、父に迷惑をかけられないと思っていたし、これ以上関わり合うことを避けた
唯一の親である父に、これ以上、嫌われたく無かったのである
「そんなはずはありません
会長ほど、りりか様のことを気にかけている人は御座いません」
返ってきた言葉に、私の目は点になった