年下の不良くん
連れてこられた場所は、馬鹿な俺でも知っている都心にあるホテルの喫茶店
慣れない場所に連れてこられたなら、普通は怖じ気づくのだろうが、喧嘩で鍛上げられている精神のお陰で、そういった感情は皆無に等しかった
案内された席に座ると、おっさんは何か注文したが、俺は用件を済ませたら直ぐに帰るつもりの為に何も頼まない
「──で、おっさん
話って何だよ」
運ばれてきたコーヒーを暢気に啜るおっさんに、痺れを切らした俺が問うとやっと口を開いた
「りりかが婚約をしているのを知っているか」
今一番触れてほしくないところに、こうも率直に言われると腹が立ってしまう
「だから何だってんだ
りりかの事を諦めろとか言うつもりか??」
「小僧、私の話を全部聞いてから物を言え」
と言って呆れたような表情をするが、俺に質問をしてきたのはおっさんだ、と突っ込みたくなったが、先の内容が気になるので黙った
「その縁談を私は勝手に進めた
会社と利益にもなり得る縁を、そう易々と手放す訳にはならないからな」
父親とりりかは、まるで性格が真逆だ
彼女は、自分よりも他人が先、という心の持ち主だ