年下の不良くん
第四十九章
──その次の日の朝…
優美と結花のおめでとうとお帰りのハグを連続で受けた私は、こんなにも周りの人に心配をかけていたのかと実感した
私も今回のようなことは、もうこれきりにしてもらいたいし、何より翔くんと離れ離れになる辛さを二度と味わいたくない
そして話題の張本人である翔くんはというと、ハグが長かった優美に少しの嫉妬を覚えたと呟いている
この場の流れで武蔵くんが私にハグをしようとしたのを、翔くんはきつい睨みを利かせて静止させた
「おい、武蔵」
低音ボイスで発せられて、武蔵くんが広げていた両手をさっと体の横にくっつけるのだが、私は武蔵くんのその機敏な動きが可笑しくって笑ってしまう
「なぁんだよ〜
独占欲は相変わらず健在ですか〜??」
普通ならこの鋭い睨みに怖気ずくのだらうが、長年一緒にいる武蔵くんにすれば朝飯前のように余裕がある
「…お前も人の事が言えねぇくせに」
翔くんが本当に小さな声で発した言葉は、隣にいた私にはちゃんと聞こえたのだが、少し遠くにいる武蔵くんには聞こえていないようだった