年下の不良くん
「──りりか!!」
校門を出た瞬間、背中を向けている方面から名前を呼ばれて振り返ると、もう少し経ってから会おうと思っていた人物がそこに居て驚いた
「春樹…」
みんなの視線が春樹に集中して、ある一人だけは険しい睨みを効かせているのが翔くんだとわかると、私は何とも言えない気持ちになる
「…どうしたの、春樹」
気まずくて何と声を発すれば良いのかがわからず、しばらくしてから言葉を選んで問い掛けると、春樹も気まずそうに苦笑いを浮かべた
「これからのことで、少し話がしたいんだ…
時間あるかな…??」
彼にとって似つかわしくない苦笑いをより深めると、私は静かにこくんと首を縦に振る
「…翔くんもついてくる??」
いつの間にか、いつもの表情に直っていた隣の翔くんを見上げると、彼は一度何かを言いたげに口を開いたが、それを飲み込んでからまた口を開けた
「いや、俺は先に家に帰ってる」
彼の性格上、必ず駄目と言っても着いてくると予想していたのだが、まさかの返答に私はびっくりしたが、彼の厚意にあまえさせてもらうことにした