年下の不良くん
第五十四章
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「りりかー!!」
何処かから私を呼ぶ声がして、キョロキョロと辺りを見渡して呼ぶ本人を探す
「優美、結花」
「もうっ、勝手にどっかに行かないでよ〜」
「探したんだから〜!!」
「ごめんごめん
今日で最後だから、ちょっとだけでも教室を見て回りたくって」
思い出の詰まったこの高校を、今日卒業した
優美も結花も無事に第一志望の大学や、専門学校に進学を決めていた
二人とは進学が別々になり、一緒にいる時間は減るが、きっと今までと何ら変わらず仲が良いだろう
「まぁね〜、寂しいよね、今日で最後だと思うと…」
優美の言葉で沢山の事を思い出す
入学してからずっと、優美と結花は私の隣でいつも私を支えてくれていた
楽しい時も悲しい時も、苦しい時もずっと…
「卒業とか早いよね
ついこの間入学したと思ったら、もう卒業だもん」
相変わらず結花はお茶目な子だけど、やっぱりこの三年間で大きく成長したなと思う
「ホントだね
早いね」
私だって結花と同じだ
入学した事がつい先日のように感じられる
「この制服を着るのも今日で終わりだよ
明日から着れないね」
くたびれ古びた制服は、私達の思い出と同じくらいの思いが詰まっていた