年下の不良くん


鴻佑くんが帰ってきたと言うことは、もう夕方かと認識する


「姉さんと蒼汰はいったい何をしていたのですか??」


「おやつにホットケーキを作ったの
それを食べてたんだ」


鴻佑くんは最初から割と、私に懐いてくれていて蒼汰くんとは真逆の性格


初対面の人でも友好的で社交性もあり、きっと春美さん似に違いない


蒼汰くんは父に似ているんだろうが、父ほどの性格ではないな


「ホットケーキ…ですか??」


だけど、ホットケーキをまじまじと物珍しそうに見つめる姿は兄弟そっくりだ


「うん、蒼汰くんがお腹減ったみたいだったから」


「それはすいませんでした
我が儘ばかりだったでしょう??」


「ううん、そんなこと無かったよ
ちゃんとお留守番出来てたし、お利口さんだったよね??」


私が聞くと食べている手を止めて、蒼汰くんは大きく首を縦に振った


「…随分仲良くなられたようですね」


「うん、心配かけてごめんね
あ、鴻佑くんもホットケーキ食べる??」


「…はい、貰います」


話している最中からチラチラとホットケーキを見ていた鴻佑くんに薦めると、言葉は平然としていれど、顔は嬉しそうに緩んだ


そういう態度を見ると、いつも大人っぽいなと感じていた鴻佑くんも、やはりまだまだ高校一年生だなと実感するのである


一人っ子から三人兄弟になった今、小さい頃に密かに胸に抱いていた“兄弟が欲しい"という、夢を叶えられて本当に心から嬉しかった





< 373 / 408 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop