年下の不良くん
またしばらくして、ぽすぽすと襖が叩かれると、合図をする間もなくがらりと襖が開く
「ただいま、みんな」
蒼汰くんが待ち焦がれていた春美さんが、紙袋を片手に帰ってきた
「おかあしゃんっ」
私の傍を離れて春美さんの足に駆ける蒼汰くんは、今日一日本当に良くお留守番が出来ていたと思う
「お帰りなさい、母さん」
「お義母さんお帰りなさい」
義理の母親になった今、春美さんの事を“春美さん"と呼ぶ事はおかしいと感じた私は、“お義母さん"と呼ぶことにした
最初はまだ慣れなかったが、今では慣れっこになっている
「ふふっ、ただいま
りりかちゃん、今日はありがとう
迷惑かけたでしょう??」
「ううん、そんなことないよ
蒼汰くん、とってもお利口さんだったし楽しかったよ」
「ほっとけきつくってもらったよっ!!」
ぴょんぴょんとお義母さんの足元で、嬉しそうに飛び跳ねる蒼汰くんが何とも可愛らしい
「ホットケーキのことかしら??
まぁ、それは良かったわね」
「僕もさっき頂きました
母さんが作るのとは比べ物にならないくらい、美味しかったです」
「まあ、酷いこと
これでも前よりは料理は出来るようになったわ」
そう、お義母さんは料理が苦手
元々、大企業のご令嬢なので、料理などした事がなかったかららしい
だから私が何か簡単な物でも作ると、すごく褒めてくれて拍手までもくれるのだ