年下の不良くん

「お父さん、お帰りなさい」


「ああ」


そこで会話は終了となる


特に何かを話すわけでもないが、ただ父の隣に座りたかっただけなので気にもしない


蒼汰くんと戯れていると、父が咳払いをする


「……今日は蒼汰の面倒をみていたらしいな」


誰から聞いたのだろうと思ったが、きっと教えたのは篠原さんあたりだろうか


「うん、そうなの
ホットケーキを作って食べたよ」


「何??
また調理場に行ったのか」


ばさりと読んでいた新聞を退けて、父は急に私と目を合わせた


「そうだよ??」


父の謎の行動を不思議に思っていると、父はもごもごと口を動かして小さな声で呟いた



「……怪我はなかっただろうな」


「えっ、怪我??
ううん、大丈夫だよ」


「………なら何もない」



「ふふっ、ありがとうお父さん」


父なりに私の事を心配してくれたようで、それが嬉しかった



食事が運ばれてきて五人でテーブルを囲んで夕飯を食べる


ここに来てこの光景は日課となっていて、引っ越してきて良かったと心から思う



暖かい家族に囲まれて、私は本当に幸せだと感じるひと時であった



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