年下の不良くん
第五十七章
Side 翔
───数ヶ月後……………
俺は無事に目指していた大学に入学した
本当はりりかと同じ大学に行きたかったのだが、俺が目指していた学部が無かった為、泣く泣く今の大学に進路を決めた
俺が大学に入学したのを機に、二人で同棲を始めてもう数ヶ月は過ぎた
生活はりりかが一人暮らしをしていた頃と何ら変わりはないが、唯一変わったことがあるとしたら、ちょくちょくりりかの実家に、足を運ぶようになったという事くらいだ
この家もりりかを溺愛している父親が勝手に、彼女の実家の傍のマンションを借りて、ここに住むように決めていた
いろいろと父親とごたついていたが、今ではすっかり仲良くなり、実家に戻るとさり気なく話し掛けてくれると、りりかが嬉しそうに話していた事を思い出す
「……にしてもよく寝てるな」
俺の横で気持ち良さそうな寝息をたてて眠っているりりかは、全く起きる気配がしない
今日は二人とも大学は休みなので問題は無いが、確か昨日の夜、今日は家の事をすると言っていたが、時計の針はもう昼前をさしている
「……ま、別にいいか」
すやすやと眠るりりかの腰を引き寄せる
大学は割りと楽しいが、やはりりりかがいないとつまらない
それは高3の時も感じたのだが、りりかが俺に与えてくれる影響力と言うのは、計り知れないくらい大きい
同棲をしているのであまり強くそうは思わないが、していなければ俺の限界はとうの昔に来ていたに違いない
「…ん、苦し…」
もぞもぞと腕の中で静かに収まっていた彼女が身動きを取り、ぱちりと目を覚ました
「はよ、りりか」
「ん…おはよ…ってもー苦しいよ」
少しだけ俺の胸を押して遠ざかろうとするのを、俺は反対に近づいてそれを阻止すると、次第にりりかの顔に赤みを帯びてくる
こうしてもう付き合って三年にもなるというのに、りりかは相変わらず初々しく、いつも俺の心はりりかに持っていかれたままで離してはくれない