年下の不良くん
夕飯をご馳走になり、しばらくしてから帰ることにした
「かけるぅー、帰っちゃうのー?!」
「蒼汰、我が儘を言ってはいけないわ」
玄関先でくずる蒼汰を、春美さんが苦笑しながらそれを止める
「わりぃな、また来るから」
同じ目線でそう言ってから、ぽんぽんと頭を撫でた
「弟も風邪引くなよ」
「僕は馬鹿ではないので風邪なんて引きません」
俺からしてみれは、そんな迷信を信じてるお前はよっぽどの馬鹿だと思うけどな
「はいはい、わぁったよ
…おとーさんもありがとうございました」
仏頂面だがいちおう玄関まで見送りに来てくれているおっさんに、軽く頭を下げるとおっさんが目の前までやって来た
「……りりかを頼んだぞ」
春美さんと別れの挨拶をしているりりかには、このツンデレ父親の精一杯の愛情の言葉を聞き取れてはいないだろう
「はい、任せてください」
男と男の約束を目と目でしてから、りりかの手を握って彼女の大きな実家を後にした