年下の不良くん
「あ、いや…ただ急に堀高を見に行きたくなって」
“堀高"とは私達の母校である、“堀野高校"の略称のことである
「やっぱり母校って恋しくなるよね
…いいよ、行こっか」
急で申し訳ないと言うふうな表情をしている翔くんの手を、珍しく私から取ってずんずんと歩き出した
「この道も懐かしい…
よく二人で放課後歩いたよね」
「そうだな」
久々に足を運んだ地元に青春時代のあの頃を思い出して、二人して少し遠くの方を見つめていた
卒業して大体、私は二年、翔くんは一年
そんなに時間は経ってはいないのに、すごく昔のように感じてしまうのは、私達が少しだけ大人になったせいかもしれない
学校の校門に着くともう放課後の時間帯で、部活をする声があちらこちらから聞こえてくる
「ふふっ、変わってないね」
「うん」
翔くんがまだ高3の頃はよくこの時間帯にやって来て、その後にデートや勉強会をしていたのを思い出して、余計に懐かしく感じた
少しだけ在学生に好奇の目で見られながら、私達はある先生に会うために、勝手に来客用のスリッパを履いて職員室に向かう
当たり前に、学校も、そして校内も、全く変わっていない
あ、あそこで良く優美と結花とガールズトークしてたなぁ
二階にある渡り廊下は、専門科コースと進学コースを挟んだ廊下で、休み時間になるとよく三人で騒いでいた