年下の不良くん

「ここでよくりりかは、優美ちゃんと結花ちゃんと話してたよな」


「えっ?!
よく知ってるね!!」


まさか翔くんも私と同じ事を思い出していた事にも驚いたのだが、私達がここで話し込んでいた事を知っていた事の方が驚きだ


「だって、俺の昼寝場所が中庭だったから」


「うーん…確かに中庭からならあの渡り廊下は見えるけど、それなら私達からも見えて当たり前なのに、私は知らなかったよ??」


「でも俺が中庭の死角になるとこにいたなら話は別だろ??」


「えっ!?有ったのそんな凄い場所!!」


この高校の中庭はまぁそこそこ大きいから、死角があってもそうおかしくはないが、そんな場所があるような噂を私は聞いたことが無かった



…と言うより、多分、私自身がそれに興味が無かったと言った方が適当だろう…


「絶妙なとこにあんだよそれが
俺しか知んねぇだろうけど…あ、でもアイツは知ってるか…」


ブツブツと何やら独り言を始めた翔くんに、私はそこがどこなのか案内してもらう


「ここ」


中庭の端で木と校舎の間の、一人二人が座れるくらいのスペース


ちょうど校舎の前にそびえ立つ並木のお陰で、太陽が遮られて影ができていて、そこに人がいることを隠している


「すごーい!!ベストポジションだね!!」


もし在学中にこんな素敵ポジションを教えてもらっていたならば、ここで昼寝を心地良くしていた事だろう



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