年下の不良くん


「だろ??」


そう言って少し口を上げた翔くんの背後から夕陽が差し込み、あまりの格好の良さに目を奪われてしまった


長い時間こうして彼の隣にいるというのに、今でも私は胸がどきどきしてしまう


「ぼーっとしてどした??」


「え…??
あ、いや何でも無いよ」


そしていつも余裕が無いのは、私の方なのも変わらない


「じゃそろそろ行くか」


大きな手が差し出され、私がそれを握るとぐっと力が入り起き上がらせてくれ、そのまま手を繋いで職員室に向かおうとすると──


「──あれ??岡本??」


後ろから懐かしい少しだるそうな声で、私の前の苗字を呼ばれて振り返った


「萩原先生!!」


二年ぶりに見る先生はちっとも変わっておらず、それだけで高校時代に戻れたような気がした


「何だよ~、二人とも元気そうだなぁ」


「ふふっ、元気にしてるよ
先生こそ少し疲れてそうだね」


「まぁな、期末テスト明けで大変だったからな」


「そっか、もうそんな時期かぁ」


毎年恒例の夏休みが終わってすぐに期末テストで、楽しかった夏休みとは強制的におさらばになるこの時期


「生徒も大変だろうけど、教師もこの時期は大変だからな~」


「大変だね、教師も」


「まぁな
それより、大学生活はどうだ??
なかなか楽しいだろー??」


さっきからずっとだんまりを続けている翔くんの二の腕を、萩原先生はちょんちょんとつついて歯を見せて笑う



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