年下の不良くん

ケガをしている右膝は、血がかなり出ていた

「どこでケガしたの??」

「グランド」

「水で洗った??」

「いや」

「まず、水で洗わなくちゃ」

そう言って、水で洗って汚れを落としてもらう

それから、消毒液を塗る

「っ…てぇ…」

案外、かなり染みるようだ

「ごっ、ごめん
あとちょっとだから、頑張ってね」

消毒を終え、絆創膏を貼った

「よっし、これで大丈夫だよ」

そそくさと授業に戻るのかと思いきや、彼は一向にそこから動く気配はない

「帰らないの??」

「おぉ、授業ダルいし
お前こそ戻んなくていいのかよ」

「私はしんどいから」

それだけ告げて、私はベッドに横になった

そしていつの間にか眠っていて、起きたときには彼は居なかった

───…

そっか、あのときの彼は、清水くんだったのか

ケガばかり見ていた私は、彼の顔なんてぼやけていて記憶にない

でも、彼の特徴と言えば、髪の毛が黒だと言うこと

優美から聞いてやっと、確かにあの喋り方から清水くんだとわかる

髪の毛の色が違ったから、今の今まで気づかなかったんだ

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