年下の不良くん

「…そうなんだ…
私は逆にそんな顔見たことないな…」

私の知らない翔くんを知ってる杏が、少し羨ましい

「当たり前じゃん～
りーかは翔が大大だーい好きな彼女なんだからぁ
…どれだけノロケ聞いてると思ってんのよぉ」

「そ、それはなんかごめん…」

「ホント、謝られてもいいくらいだかんねぇ
…なんかさぁ、杏思うんだけどぉ、翔の彼女がりーかで良かったよぉ
てかぁ、もぅ、りーかしか翔には似合わないって感じだしぃ」

思いもよらない言葉が帰ってきて、私の鼻がツンとなって泣いてしまいそうになった

「ちょっと～杏が嬉しいこと言ってくれるから、泣きそう～…!!」

冗談じゃなくて本当に視界もぼやける

今までずっと、心の隅っこで“私は翔くんとは釣り合って無いんじゃないのだろうか”と思っていた

それが彼女の一言で、スーッとまるで魔法をかけられた様に消えていった

誰かからそう言ってもらうのを、恥ずかしながら臆病者な私は待っていたのだ

「ちょっ!!りーか!?
泣かないでよぉー!!」

「…っご、ごめん…」

すると、私達に気づいた翔くんが心配した顔でやってきた