鬼龍‐金色の覇者‐
「遅い。」
二年の校舎の屋上で黒髪の男子生徒がタバコを口にしたまま、イラつきを露にしていた。
「ねー、匡は何であんなにイライラしてるの?」
「イラついているんじゃなくて、心配しているんです。」
「…誰を?」
黒髪の男子生徒――神坂匡(カミサカマサ)――から少し離れた所で、匡を眺めている男子生徒が二人。
赤髪の小柄な男子生徒――國本秋(クニモトアキ)――は匡から隣に座っている亜麻色の髪の男子生徒――新谷藤夜(シンタニトウヤ)――に視線を移す。
藤夜は秋の問いに笑顔で答えた。
「女の子です。」
「…女!?匡が女の心配してるのっ!?」
「そうですよ。」
藤夜は楽しげに、二人を見比べて怪訝そうに首を傾げている秋に笑いかけた。