夏物語
「あ、あれ海じゃない?」



目の前に広がるのは、白い砂浜と青い海。



でもまだ、人は一人もいない。


「わー貸し切りみたいー!!」

砂浜ではしゃぐ薫くん。


「足とられますよ!」



「いでっ!!!!」



言わんこっちゃない。



砂浜に足をとられた薫くんは、豪快に転んだ。


「あーあ、膝から血がでてる。」



「水で洗った方がいいんじゃないですか?」



「ばか!傷口に海水かけたら痛いじゃん!」


本気でさけぶ薫くんがちょっと面白い。





ジャージのぽっけに前に使ったと思われるハンカチで血を拭いてあげた。



「帰ったら消毒ですね。」



「いやだー。」
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