夏物語
「スイカ重いから俺が持つよ。」


ひょいっとスイカを持ち上げた薫くんの腕は筋肉質。


くどいようだが、肌は白い。



「ばあちゃんちどこ?」



「ばあちゃんちはね、ここなんかよりもっと田舎なの。」



蝉のBGMはいつのまにか蜩にバトンタッチ。



「ここより田舎?もしかして家と田んぼしかないとか?周り森とか?すげー!!やべー!!田舎最高!」



勝手に想像してくれるのはよいが、なかなか失礼。


ビーサンでペタペタ歩いていると、足がくすぐったい。

だって草がボーボーなんだもん。



今私達が歩いているのは、草の上に何回も軽トラックが通って二重線になってる田んぼの畦道。



よく田舎にある光景だ。
まっすぐ行くと道の終わりに家がある。




…ばあちゃんちだ。
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