夏物語
「ばあちゃん、スイカ持ってきた。」



中に入ると畳のいいにおいがした。



その上にスイカを置くと、足早に縁側の方に行った薫くん。



「これ、すだれ?」



すだれの間から漏れる夕焼けは、私の好きな光景だ。


「そうそう。都会にはすだれないのかい?」



「あると思うんだけど見たことなかったんだ。」



ポカンとしている私。

だってすだれ見たことないってある意味すごいし。


でもなぜかばあちゃんは全てを悟ったような笑顔だった。



もちろん、薫くんも笑顔。


「スイカ、冷やさんとね。」
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