夏物語
「なぁ雛。」



「なんですか?」



花火大会の帰り道、薫くんは少し機嫌が悪かった。



「俺、あいつが出てきた時、雛はもしかしたらあいつんとこ行っちゃうんじゃねぇかって思ったんだ。」




「何言ってるんですか!」



私が好きなのは薫くんだけなのに。



「行くわけないでしょう!私がどれだけ薫くんのこと好きなのか知らないんですか?」



「雛は俺のか?」




「当たり前でしょう!」



もし、本当に二人がお互いに不安になったんだったら、何回でも確かめあえばいい。



それで答えが違ったら、さよならだ。




< 66 / 72 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop