幸せになりたい
「京都からやってきました矢田健太郎です。
 この年で恥ずかしいのですが、いまだ独身です。

 家族もおりませんので、仕事終わりに親睦を深められたらうれしいと思います。
 これからもよろしくお願いします…」

そういうと、頭を下げた。

統括部長は後はよろしくと声をかけ、部屋を後にした。

健太郎コト矢田部長は部長室に入り、仕事を始めた。

あいつは私の存在に気が付いていないのだろうか?


まあ、気がつかなければ、それでいい…

あいつもかなり女なれしているように感じたから、もう忘れたのだろう。


それでいい…私は呪文のように頭の中で復唱し、仕事に取り掛かった。



その日の仕事はなんとか定時で終わった。
いつもなら、おやつ時には終わっているはずなのに…

仕事のペースが乱れてしまっている。

今日は、あまり考えられそうもない。

マスターに事実確認をして、すぐに自宅に帰ろう…


私は、荷物を持つとマスターのいるバーへ向かった。
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