幸せになりたい
「琴音さん…いらっしゃい。
 今日はいつもよりはやくないかい?」

『ええ。ちょっと伺いたいことがあって…』

「何かな?もしかして、健太郎のこと?
 この前はごめんね。 
 つぶれていた琴音さんを健太郎がちゃんと送ると言うから任せたんだけど…
 なんかあった?よね。」

『あの…それは別に私も大人なのでいいんですけど…
 彼の仕事って?』

「ああ。あいつ、最近京都から戻ってきたんだよ。
 あいつもいろいろあって、まあな。

 でも、どうしての?気になる?あいつのこと」

『実は、今日・・・』

「今日、会社で会ったんだよ。同じ会社で同じ部署だったってこと」

いきなり私の話の途中で入ってきた男。

矢田健太郎…この男しかいない。


「えっ?ほんとに??琴音さんってあの会社につとめていたの??」

『ええ…今日はうちの部長が着任すると言われ、見たらこの顔でした。』

「何だよ。琴音。冷たい言い方するなよ。
 びっくりしたような顔していたけど…
 俺は、この間ちゃんと言ったぞ。お前に…」

『そんなこと言われてません。』

「お前がヒールを履いている時に俺が声をかけただろ。
 お前はさっさと帰ることを考えていたようだがな。」


確かに思い出せば、あの時何かを言っていたような気がするけど…

そんな大事なこととは思わなかった…
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