Buring&Love




ゆらゆらと優しい蜻蛉が。
そして台風一過の後の野秋晴れのような朝。




昨日届いた一通のメール。




【 明日にはそっちに帰る 】




なんて返信したらいいのか結局悩みすぎて、どうもこうも返信できず。


ただの意気地なし。
そんな言葉があたしにはぴったりだ。





即席の豆乳ドリンクを流し込み、身だしなみを整え会社に向かう。



何気ない風景。



キラキラと光って見えるその空気は
こんなに綺麗だったっけと思える。




多分、それは心の持ちよう。





大切な人が帰ってくる。
そんな心持なんだ。






「おはようございます。」





『おはよう優姫ちゃん。』




妙になれなれしい副社長の態度がずっと気に食わなかったが、今はさして気にも留めずに挨拶できる。




『今日だっけ社長が帰ってくるのって。』





< 112 / 135 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop