Buring&Love
ゆらゆらと優しい蜻蛉が。
そして台風一過の後の野秋晴れのような朝。
昨日届いた一通のメール。
【 明日にはそっちに帰る 】
なんて返信したらいいのか結局悩みすぎて、どうもこうも返信できず。
ただの意気地なし。
そんな言葉があたしにはぴったりだ。
即席の豆乳ドリンクを流し込み、身だしなみを整え会社に向かう。
何気ない風景。
キラキラと光って見えるその空気は
こんなに綺麗だったっけと思える。
多分、それは心の持ちよう。
大切な人が帰ってくる。
そんな心持なんだ。
「おはようございます。」
『おはよう優姫ちゃん。』
妙になれなれしい副社長の態度がずっと気に食わなかったが、今はさして気にも留めずに挨拶できる。
『今日だっけ社長が帰ってくるのって。』