Buring&Love
「はい!」
思わず声を弾ませ返事をする。
『へぇ、俺はもう少し優姫ちゃんと一緒にしごとしたかったんだけどなー。』
間延びした声がやけに耳につく。
ああ、あたしはこういう人が若干苦手だ。
「公私混同なさらないようお願いいたします。」
とフラットな声を勤めて出してみる。
『まぁ、社長なんて目でもないけれどね。
じゃあ、ここ最近ありがとう。
今日は一般業務に戻りな?。』
「こちらこそありがとうございました。」
頭を45度きっちり下げて敬意を示す。
もう頼まれても、副社長と取り巻きとは仕事をしたくないから。
その決別の意も込めて。
あたしは社長室に足を通す。
「…はぁ。」
思わず漏れるため息。
ようやく帰ってきた。
なんだかんだ言ってあたしは職場で一番ここが落ち着くなんていったら、よほど神経の図太い持ち主だろうか。