Buring&Love
ずっと、一緒にいたからさして敬語を使うなといわれても特に抵抗も感じないが、職業柄それはまずい様な気がする。
いや、まずいのだ。
『ねぇ、キス。』
「だから、それは駄目。」
そう言い切ると、拗ねたような顔をして、そっぽを向いてしまう彗。
あたしのせいじゃ無いんだから。
気まずい、沈黙に耐え続けると、
辺りは少し明るくなってきた。
腕時計をみると、もう5時だ。
もうって言っても、まだ5時だけど。
『到着いたしました。』
秘書さんがあたしと彗のドアを開けてくれる。
「有難う御座います」
会釈しながら、降りると、
『行ってらっしゃいませ』
なんて最敬礼されてしまうから
なんとも申し訳が無い。
彗なんか、余裕で受け流してるし。