ましゅまろハート
日本最大のショッピングモール

なだけあって、

店内はカップルや家族連れで

賑わっていた。


ほぼデート経験ゼロの

俺は(我ながら情けない)、

この貴重な時間を

どうして過ごせばいいか

分からずにいた。


しかもこんなにお洒落な場所。


美波さんの前で

絶対に恥をかきたくない。


左右に並ぶショップを

キョロキョロと見ながら、

俺は美波さんのペースに

合わせて歩く。


「み、美波さん、

 気になるところがあったら

 言って……」


美波さんの名前を噛むわ、

語尾は消えるわ。


俺の自信のなさが

今の言葉に全て出てしまっていた。


なんて情けねぇんだ、俺。


そんな俺に美波さんは、

「うん、ありがとう」

と言って微笑した。


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