ましゅまろハート
しかし、俺の足は

ぴたりと動かなくなってしまった。


それもそうだ。


美波さんの横に、

俺の知らない男の人が

ぴったりと寄り添って

いたのだから。


「あいつ、……誰だ」


怒りにも似た感情を

どうにか押し殺し、

俺はその男と美波さんに

気付かれないように

そっと近付いた。


そうだ。


美波さんと一緒にいるだけで、

この男を彼氏だと

決め付けるのはどうだろう。


もしかしたら、

美波さんのお兄さんかもしれない。


美波さんからは

まだ兄弟のこと、

なにも聞いてないしな。


そうだ、きっと、

美波さんのお兄さんなんだ。


心の中で俺は必死に言い聞かせる。


2人の会話は

ちゃんと聞き取れないが、

所々かすかに耳に入ってくる。



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