ましゅまろハート
「た、タクトくん……」


突然の俺の登場に、

美波さんは言葉を

失っていた。


くりっとした目を

さらに真ん丸くして

俺を見つめている。


俺は表情ひとつ変えずに

淡々と言葉を続けた。


「今日、美波さん、

 休みだったんで。心配しました」


美波さんの顔が

みるみるうちに青ざめる。


俺たちの様子を見ていた

シュウイチという男が、

ようやく口を開いた。


「美波、この男の子は、誰?」


美波さんが答えようと

するのを俺は遮るように、

「榊拓斗っす。東院大の1年っす」

とシュウイチを

睨みつけながら言った。


俺の言葉を聞いたシュウイチは、

あぁ、東院大の学生ね、

と鼻で笑うように呟いた。



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