ましゅまろハート
美波さんの動きが

ぴたりと止まる。


手にしていたボールペンを

そっと箱に置き、

俺の顔をじっと見つめる。


美波さんの心が読み取れない。


ただ、分かるのは

それに触れて欲しくなかった、

ということだけ。


そして美波さんは

ひとつ息を吐くと、口を開いた。


「彼とは、

 ……確かに、付き合ってたわ」


ん?付き合ってた?


―――“た”?


俺は目を丸くしながら

美波さんに訊いた。


「今、美波さん、

 付き合って“た”って。

 って事は……」



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