ましゅまろハート
なるべく平静を装って

言葉を選ぶ。


それとは対照的に

電話の向こうのヤナは、

鼻息が聞こえてきそうな程に

興奮しながら叫んだ。


『いたぞ!お前の気になるコ!』


ヤナの言葉に

俺の心臓が暴れ始める。


「で、どこにいたんだよ?」


『購買部。分かるか、場所』


コウバイブ……?


俺は生協といったら

食堂と書籍部にしか行ったことがない。


コウバイブという言葉は初耳で、

どんなところなのか

どんな場所なのか、

いまいちピンとこない。


「知らねぇよ。

 俺、行ったことねぇもん」


俺の言葉に

ヤナが溜息をひとつついたのが

聞こえた。



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