お姫様は最強です





 ──全力で走って目的地についたとき、時計の針はすでに11時をさしていた。

 ……いた!結奈だ!

 結奈は下を向いたまま歩き出し、今にも消えてしまいそうな雰囲気だった。

「結奈!」

 結奈が足を止めてこちらを向いた。

 すぐに結奈の近くに行き、呼吸を整えながら言った。

「…はぁ…はぁ…はぁ……結奈…ごめん。寝坊した…それから家を出ようとしたら、母さんに捕まって……だから家出たときにはもう約束の時間になてて……。ほんとにごめん!」

 俺は深く頭を下げて謝った。

 すると結奈が口を開いた。

「……よかった、来てくれて……。」

 え?

「怒んねぇの?」

 普通怒るだろ。

 なのになんで「よかった」なんだ?

「…私が無理やり言っただけだから私に会いたくなくてこないのかと思っちゃって……。」

 結奈の目を見ると少し涙目になっていた。

「結奈……ほんとにごめんな?」

「ううん、いいの。来てくれただけでも嬉しいから。あと、ごめんね?無理やり付き合わせて。」

 結奈はにっこり笑ってそう言った。

 ほんとにごめん……。



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