お姫様は最強です
 



 リビングに入ると何かがこちらに向かって走ってきて、私を抱きしめてきた。

「結奈ちゃん久しぶり~~!」

 言い忘れてたけど、これは竜也のお兄ちゃんです。

 それにしても久しぶり~。

 感動するかも~、なんつって。

 でも、私たちとは裏腹に、後ろからものすごいブラックオーラが……

「おい兄貴、さっさと離れろ。」

 ひぃぃい!

 怖い怖すぎる!……って言うのは嘘。

 だって、これくらいでビビってたら雪姫なんて、できてませんでしたから~。

 でも、これは怖い。

 いつもの竜也からは考えられないほど怖い。

 おもいっきり毅さんを睨んでいる。

 にもかかわらず、毅さんは離す気配はなく、とてもニヤニヤした表情で竜也をみている。

「竜也は相変わらず嫉妬深いな~。このくらいでやきもき焼いちゃって~。」

「は?そんなんじゃねぇし。」

 …竜也、目をそらしすぎ。

 理由はわからないけど。

 それにしても、桃山家は……言い合いが多くない?

 そんなことを考えている間も、竜也達の言い合いは続く。

 毅さんは未だ離してくれず……

 ……き、気まずいなぁ…………

 とうとう耐えきれなくなった私は、思い切って毅さんに離してもらうように言ってみる。

「……あ、あの…毅さん、は、離してもらえますか?…苦しくて………。」

 
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