お姫様は最強です

~竜也side~








 ……まだか…………?

 俺は今パーティー会場にいる。

 結奈んちに電話した後に家を出て一時間。

 遅くね?

 結奈のことだから、準備が遅くなってんのかもしれねぇな……。

 にしても遅すぎだろ。

 何かあったのか?

「──竜也?」

 えっ?

 結奈?

「なにボーッとしてるの?」

「えっ、いや……何でもねぇけど………。」

「なによ、教えてよ!」
 
「だから、何でもねぇって!」

「嘘だ!」

「何でもねぇっつってんだろ!てか、なんでこんな遅かったんだよ!遅くなるなら連絡ぐらいしろよ!」

 あっ、やべっ。

 怒鳴っちまった。

「なによ!怒んなくてもいいじゃない!渋滞だったんだから、仕方ないじゃん!」

 結奈の目が潤んできた。

 泣きそうだな……。

 どうしよ……。

「あっと…ごめ………「私だってもっと早くきて会いたかったよ……。」

「えっ……。」

「竜也に早く会いたかったんだよ……なのに…………。」

 結奈が俯きながらそう言った。

「…ごめん……………。」

「結奈……!」

 結奈は顔を見せないようにして振り向き、出口へ向かって走っていってしまった。

 少しだけ見えた結奈の顔。

 泣いてたな………。

「竜也ぁーーーーーー!早く追いかけんかーーーー!」

 ベシッ!

「ぃてっ!」

 誰だよ!

「そうだぞ、竜也。早く行け!」

 二人?

「「「「早く結奈様追いかけてよ、竜也君!!」」」」

 大勢?!

 誰なのかと思って振り向くと、そこにはユリと圭人と結奈のファンクラブのやつらが……。

 俺の頭を叩いたのはユリだった。

「なにすんだよ!」

「なにすんだよ、じゃないわよ!なに私の親友泣かしてんのよ!」

「……どっから見てたんだよ……………。」

「「「「「竜也が怒鳴るところから。」」」」」

 はぁぁぁぁぁ。

「なんでそんなとから見てんだよ……。」

「そんなことはどうでもいいわ。早く結奈追いかけなさい!」

「んなこと言ったって……。」

 なんて言えばいいんだよ……。

「俺が一方的に怒鳴っちまったのに、行ってもなに言えばいいかわかんねぇよ……。」

「竜也……………。」

「俺は行けねぇよ……。」

 行っても結奈の顔が見れねぇ……。

 会場は音楽などもかかっていて騒がしいのに、俺たちの周りだけは、なぜかとても静かに感じた。

 そんななか、ユリが口を開いた。

「──…………………結奈、くる前に私に連絡してきたんだよ?竜也にドレス褒めてもらいたいって。」

「え……。」

 思わずとてもマヌケな声が出てしまった。

 でも、そんなことは気にならなくて、気になるのはユリの言葉。

「結奈、いつもなら絶対着ないようなドレス着て、竜也に褒めてもらいたいって頑張ったんだよ?」

 嘘だろ…………。

「だから言ってあげて?結奈にあって似合ってるって。きっと結奈は会ったときに言ってもらいたかったと思うよ?」

「………………っ!」

 俺は一目散に走り出した。

 結奈……ごめんな…………。

 怒鳴ったりして……。











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