お姫様は最強です








 ……くそっ!

 どこに行ったんだよ!

 結奈の行きそうな所はだいたい探したけどいなかった。 

 ここの会場は初めてじゃないけど、俺はあまり外には出たりしてないから、どこに何があるかとかがわからない。

「………結奈…どこにいんだよ…………。」

 立ち止まってつぶやいた。

 すると、視界にあるものが目にはいった。

「…バラ………?」

 うす暗くてよく見えないけど、確かに赤いバラがきれいに咲いていた。

 そういえば……結奈ってバラ好きだったよな……。

 遊んでるときも、バラを見つけたら一目散に見に行ってたもんな………。

「……結奈……………。」

 俺はなにかに引かれるように、バラのアーチをくぐって奥に進んでいった……。


 ───進んでいくと、広い広場のような所に出た。

 周りにはいろいろな種類や色のバラがあり、噴水もあった。

 そして、噴水のそばにはベンチが。

 そこに結奈の姿を見つけた。

 少しずつ近寄っていくと、結奈の鼻をすする音が聞こえた。

 まだ結奈はこちらに気づいていないようだ。

 うしろ姿でも結奈が泣いているのがわかる。

 俺はそんな結奈を後ろから抱きしめた。

「…グスッ……誰……ッ……………竜也…?」

「うん。」

 結奈は一瞬ビクッとしたが、俺だとわかると少しホッとしたような感じになった。

 そして、俺が口を開く。

「結奈………ごめんな………。」

「…………………。」

「結奈が悪いわけじゃないのに怒鳴って…………ほんとにごめん……。」

 結奈を抱きしめる腕に少し力を入れた。

 すると、結奈のお腹の前にある俺の腕に結奈の手が触れた。

「………竜也が謝らないで………。」

「……結奈………。」

「私の準備が遅かったし、道が渋滞してなくても、どうせ遅れてたんだから……私が悪いの。だから、謝るのは私なの。ごめんなさい……。」

 結奈が下を向いたと同時に、俺の腕に冷たいものが降ってきた。

「ごめんなさい……グスッ……ツ…。」

「結奈…泣くなって………結奈は悪くないよ…結奈は悪くない、だから泣き止んで?俺が怒鳴ったのが悪いの。」

「……ツ……で、でも……グスッ……。」

「それでも嫌なら、どっちも悪くない。お互い様でチャラにする。これならどう?」

「……グスッ……わ…わかった…グスッ……………。」

 腕の力を弱めて結奈の顔をのぞくと、目をこすって、涙を拭きながらそう言った。

 うわっ……やっべ…………///////

 急いで手を離して結奈に背を向ける。 

 今の不意打ちすぎんだろ///////

 心臓がすごい速さで動く。

「…どうしたの………?」

 泣きやんだらしく、いつものように話しかけてくる。

 切り替え早!!

 とか思う暇もなく、ただ顔を冷やす。

「竜也?どうしたの?…私がなんかしたの?」

 い、いや……したっちゃしたけど……なんか違うよな?

「私がなにかしたのなら、はっきり言って?」

 よしっ!

 顔なった!……はず…………。

「結奈……。」

「ん?……きゃっ!…」

 突然抱きしめた俺にビックリしたのか、少し悲鳴をあげる。

 突然っつても、さっきもしたけど………。

「結奈………。」

「は、はい!」

 緊張しているのか、敬語になっている。

 少しおもしれえな……。

「……不意打ちで可愛いことしないで…目、合わせれなくなるから………。」

「う、うん////!」

「それと………。」

 そっと結奈の耳に唇を近づけ……





































「……ドレス、似合ってるよ…………。」

「…っ////////////////!!!」




































< 211 / 335 >

この作品をシェア

pagetop