お姫様は最強です
~結奈side~
竜也に突然怒鳴られたのでビックリして泣いてしまった……
泣くつもりなんてなかったけど、なんていうのかな。
お化け屋敷でビックリして泣いちゃう。
みたいな感じ。
そして、泣いてしまった私は外にやってきた。
方向音痴ではないのだけれど………
完璧迷子。
うぅ……
今まで気づかなかったけど暗くなってきたし……
怖いよぉ……
怖すぎてまた涙が出てきたけど、私の大好きなものの匂いが漂ってきた。
「バラだ……………。」
なんでこんな所にバラが?
よく見てみるとアーチになっている。
「行ってみよ…。」
アーチをくぐっている間にバラを好きになった理由を思い出していた……。
────小さい頃からバラの花が大好きな私。
なぜ好きになったのかは、竜也が始めてくれた誕生日プレゼントが、バラの花だった。
あの日のことは、今も鮮明に覚えている……。
照れながら綺麗な赤いバラを私に差し出してきた竜也。
その年の誕生日は、お母さんもお父さんも仕事が休めず、一人で部屋で泣いていた。
そんなときに竜也が現れた。
竜也が現れた場所は窓。
私の部屋は二階にあるのになんでそんな所にいるのかと、とてもビックリした。
「王子様みたいだろ。」
と、ニコニコ笑いながら言った竜也。
そんな竜也をみると私も自然と笑顔になれて、泣いていたことなんかすっかり忘れていた。
一緒に笑っていると、急に竜也が頬を赤くしてモジモジしはじめた。
どうかしたのかと思ってきいてみると、竜也は何もいわずにバラを私の前に差し出した。
「誕生日おめでとう……。」
とても嬉しかった。
さっきまでは寂しくては泣いていたけど、バラを受け取るとさっきとは違う涙が出てきた。
「……ありがと………竜也……。」
「別に……た、たまたま母さんがくれたから…結奈が喜ぶかと思っただけだ!誕生日プレゼント、用意するの忘れてたし、前まで渡してなかったから……。」
「ううん…嬉しい………ほんとにありがとう。」
「お…おう…………//////」
少しの沈黙。
「…竜也……ケーキ一緒に食べない?小さいのが二つあるの。」
沈黙を破ったのは私。
まだ一緒にいたい。
「うん、食べる。結奈の誕生日だからな!」
それから竜也と私はケーキを食べて少し遊んだ。
騒がしいと思ってへやに入ってきた使用人がなんで竜也がいるのかと思ってビックリしてたな。
窓から入ったって言ったときには呆れられてたな。
怒鳴られてはなかったけど、少し怒られてた。
………まぁ、こんなことがあったから、バラの花が好きなの。
───そんなことを思い出していると、いつの間にか広い広場のような所にでていた。
周りはバラ、真ん中には噴水。
すごく綺麗だった。
少しの間見とれていると、噴水の近くにベンチがあるのが見えた。
そこに腰を下ろすと竜也のことを思いだした。
さっき……ドレスのこと、なにも言ってくれなかったな……。
すごく誉めてとは言わないけど、なにかは言ってほしかったな……。
…ポロッ………
あぁ………
私って、ほんと泣き虫だな………。
「……ウゥッ……フェ、……グスッ……………。」
竜也の……バカァ……………………。