お姫様は最強です
「結奈っ!まだ泣いてたのよ!やっぱり誰かにいじめられたのか?それともどこか痛いのか?」

 ……いや、別にいじめられたわけじゃないし、どこか痛いの訳でもない。

 だけど、泣いてた理由は竜也の事ですなんて言えるわけないし。

 私がどう返事しようか迷っていたときだった。

「違うよ。結奈ちゃんが泣いてたのは竜也のせいだよ。」

 またもや言ってくれましたね君は。

 そんなこと言ったら竜也がまた……。

「おい。俺のせいってどういうことだ?俺、結奈になんかしたか?」

 なんかしたかって……むしろ何もされたことありませんよ。

 されたいわけじゃないけど、もうちょっとなんて言うかな?

 うーん。

 まっ、とにかくなんか言わなきゃ!

「え、えっとねぇ、……なにも…してないょ……。」

 なぜかよくわからないけど最後が小さくなってしまった。

「何もしてないなら何で俺のせいなんだ?なんでだ、圭人。」

 ちょっ!

 圭人くんに聞いたら答えるじゃんか!

「んとねぇ、それは竜也がこくは…んぐっ!」

 案の定理由を言おうとしたと圭人くんの口を素早く両手で塞いだ。

「……ふぐっ、んぐぐっ…ふがふがっ…!」

 このおしゃべりめ~!

「竜也、ほんとに何もないから。目が痛かったから涙でちゃって、それが泣いてるように見えたんじゃない?アハハ圭人くん?勘違いしちゃってるよ♪」

 なんとか誤魔化そうとする私。

「じゃあ何で俺のせいっていったんだよ。」

 うっ…そうきたか。





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