光の射す方へ




私は、歩太を座らせると、そっとケーキの箱を開けた。



ケーキの上の、チョコレートのメッセージを見ると、歩太は、「ふっ」と笑った。




そんな歩太の横顔を見ると、涙がじんわり、溢れてきた。


歩太にバレない様に涙を拭くと、私はロウソクに火をつけ、部屋の電気を消した。



「歩太、お誕生日おめでとう!!」



そして、ちょっと恥ずかしかったけど、バースデイソングを歌った。



「歩太、ロウソク消して!」



歩太は、照れくさそうに、ロウソクの火を吹き消した。




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