光の射す方へ
歩太の生い立ち




しばらくすると、歩太は、すごく真剣な顔をして私に言った。



「俺の話、聞いてくれる?」



私が、首を傾げると歩太は、私の腕をそっと引いて、静かに抱きしめた。



歩太の体温が、私の体、全体に伝わる・・・。



ドキドキと高鳴る鼓動を感じていると、頭の上から歩太の声がした。



「リカに嫌われちゃうかもな・・・。」




その言葉を聞いて、私は、歩太から体を離して、歩太の顔を見た。




歩太は、「ふっ」っと、すごく寂しそうに笑った。




「歩太、話して。」




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