光の射す方へ
キス
しばらく抱き合ったままだった体を、歩太は少し離して、私の顔を覗き込んだ。
「リカの泣き虫!」
いつもみたいに、少し素っ気なく、そう言った歩太の顔を見ると、何だか急に、恥ずかしくなってしまった私は、歩太の肩を、軽くパンチした。
「違うもんっ!」
外はもう、すっかり夜が明けて、日が昇り始めていた。
「もう、5時だね。」
私がそう言うと、歩太も時計を見た。
「そろそろ寝ないとな・・・。リカ明日、前半からだろ?」
私は、頷いた。
「俺、帰るから。今日はホント、ありがとな。」
歩太は、私の頭をくしゃくしゃに撫でた。
自然と二人の顔から、笑顔がこぼれて、
私達は、もう一度、キスをした。
「歩太、帰らないで・・・。」
私が、歩太の目を見て、そう言うと、
「リカのスケベ」
って、歩太は悪戯に笑った。
真っ赤になって俯く私に、
「嘘だよ。」
って、おでこにキスをくれた。
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