光の射す方へ





初めて、歩太とひとつになれた。


人って幸せな時にも涙を流すんだね・・・。


「リカ、何で泣くの?・・・嫌だった?」


歩太はちょっと不安な顔をして、私の前髪を触る。



「違うよ。すごく嬉しくて・・・。すごく幸せだから・・・。」



そっと、私のおでこにキスを落とすと、


「俺も。誰かの事、こんな風に大事だって思った事なかった・・・。」



歩太の口から、そんな言葉が聞けるなんて・・・



「歩太、私の事信じてね。ずっと歩太の傍にいるから・・・。

ずっと、一緒にいてね。」



歩太の大きな胸に顔を埋めると、歩太はスッポリと私を包んでくれる。



「お前、ちっちぇーな。」



そして、悪戯な笑顔で私を見ると、私の胸を触った。



「ひどーいっ!!」



怒ったフリをして、背中を向けると、愛しい声が聞こえる・・・。




「リカ、こっち向いて。」





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