光の射す方へ




「歩太、うみーっ!!」



私は、海が見えると歩太の手を引いて走り出した。




海水浴シーズンを終えた海は、人もまばらで、とてもキレイだった。



「気持ちよさそ〜。水着、持ってきたら良かった〜」


私がそう言うと、歩太は、



「クラゲに刺されるぞっ!」



と、少しバカにした様に言い、自分の被っていたキャップを、私に被らせた。




「歩太、ちょと波のとこまで、行ってみようよ!」




そして再び、歩太の手を引いて、走りだした。




「リカ、そんなにはしゃぐと、夜もたないぞっ」



歩太は、そう言って、ニヤッっと口の端を上げた。





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