地球の三角、宇宙の四角。
扉の開いている病室もいくつかあって、うめき声のする部屋もあった。

少しだけ視界に入る。

いつもは看護師さんが居る部屋を通過した。電気は煌々とついているのだけど中には誰もいなかった。

かなくんの乗ったエレベーターの前で立ち止まる。

エレベーター。黒い影。幸村さん。

エレベーターのボタンを押し、1階からエレベーターは自分のいる階へと数字が近づいてくるのを眺める。だけど待ってられない。

じっとしていると気が狂いそうだ。

来た道を戻らずにそのまま早歩きで進んだ。体を動かし続けていれば、景色が少しでも変われば正気を保っていられる。そんな気がした。

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